まだ薄暗い 早朝、バゲッジはキャピトルサイトのホテルアジアのフロントに残したままホテルをチェックアウトし、リュック一つでタクシーを掴まえセブ港に向かう。行きはオーシャンジェットを利用、セブ港のPIER2より出航。早朝にもかかわらず港はすでにごった返していた。窓口で「カードOK?」と聞くと「NO!」の返事。貴重なキャッシュでチケットを買い(250P?)乗船。一路ポロをめざすが...その前に...。
PIER2の外の売店で朝食にと買ったホットドッグを、いつものごとく賞味期限を疑いながらパクリ一口、別に異常はない。しかしまずい。乗船後、船内で何人かがおいしそうに食べている真黄色のパッケージのフィリピン製カップヌードルが目に止まり売り子に注文すると、これがめちゃくちゃ旨いので驚いた。ひょっとすると今まで世界に自慢してきた「メイドインJapan」より美味しいかもしれない。しかしながら、味付けがこの国の気候にあっているからこそ、ここではとっても旨く感じているのかもしれないとも思った。おそらくこれを日本へ持ち帰って食べたところで、こんなには美味しくは感じないないであろう...。
ともあれ約1時間30分後にポロ島の桟橋に初の第一歩を踏み入れる。港では大勢の出迎え客やポーター、バイクのドライバーが手荒い出迎えで溢れていて人を押し退けてやっと空きスペースを確保。
ここでの移動 はモーターバイクが主流だ。いつのまにかドライバーたちが我先にと私を取り囲む。「リゾートへ行きたいんだが・・・」というと、間髪を入れず一人のドライバーが「まかせとけ!乗れよ!」と半ば強引に私を後部座席に誘い込む、と同時にバイクを発車させた。走り始めるとバイクもまんざらでもなくなかなか快適だ。風はやわらかくバイクが撒き散らす排気ガスが懐かしく匂った。行き過ぎる島の光景はとてものんびりしていて素朴な良い所のように見える。どこのリゾートへ連れて行かれるかわからないまま途中ドライバーに、「この島でNO1のリゾートはどこだ」と聞くと、ドライバーは得意気に「サンチャゴだろ?」という。今からそこへ行くところだという。やっと安堵感がもどる。
マングローブの林を通り抜けると町らしいところに出る。ここがサンフランシスコらしい。とてもオシャレな地名だがアメリカのそれとは大違いだ。このサンフランシスコ途中から道が舗装されていなくて穴ぼこが多いので尻にガンガンくる、バイクの後部席にはきついそんな道が延々と続く。こんなことなら無理をしてでもトライシクルにでも乗るんだったと嘆いても後悔先に立たず。突然ドライバーが「湖は好きか?」と聞いてくる。どうやら近くにある湖を私に見せたいらしい。興味はあったが私の尻がすでに限界を超えていてこの状態から一刻も早く脱したかった。状況を瞬時に表現できるほど私の英語はうまく回らない、その間にも尻は打ち続かれるとの思いで、「I
don't like」と変な断り方で凌いだ。途中ガソリンを入れに道端の売店に立ち寄りコーラ大瓶2本入れる。まだかまだかと言っているうちにやっとの思いでサンチャゴ・ベイ・ガーデンリゾートに着く。結局50分程のそれはそれはきびしい道のりだった。
バイクを降りて恐る恐る「ピラ」(セブアノ語でいくら?)と聞くと、ドライバーはしばし考えたあげく、100ペソと言ってきた。案の定、法外とも思えたがわかり易い金額だ。まあ今回は最初に料金を聞かなかったので、言うがままに支払おうと思い財布から500ペソを渡すと、毎度の事だがつり銭がないという。その辺でくずしてくるように言ったがしばらくしても一向にくずす気配もなくゴタゴタしている。そうこうしているうちにホテルのマネージャーが現れ100ペソを立て替えてくれた。すんなりコトが運んでありがたい。
支払いは済ましたが、それでもしばらくドライバーはホテルの前から立ち去ろうとしなかった。おそらく私の帰りの足として交渉するためだろうと思ったが、今回の料金が納得のいく金額でなかったので、帰りの予約はしないままホテルのゲートをくぐった。
サンチャゴは 間口からは想像できないほど意外と広くて快適そうなリゾートだと感じた。ホテルのマネージャーの名前はジェスという。なかなかの色男であり、人懐っこいナイスガイだ。日本人にもよく似ている。後で聞いたがまだ独身だという。にわかに信じがたい。ジェスがまず手始めに部屋を見せてくれた。エアコンなしのスタンダードだ。なかなかいい部屋だし料金も手ごろだったのですぐに決めた。イエローのカーテンがかわいらしく女性には喜ばれそうなインテリアである。他に宿泊客がいないので共同使用のシャワー、トイレは独占状態で快適。
次にジェスはリゾート内をくまなく案内してくれる。洞窟のような所も案内してくれていろいろと説明を聞いた。一週間ほど前にやはり私のような日本人が一人で来て4泊程泊まって、毎日のんびりして、ビールづくしで飲んだくれ帰っていった..という。最高だ。
たしかにここではビーチで水浴びをするか、日陰で読書をするか、サンミゲルを飲んで寝ることくらいが楽しみだ。ことぐらい..と云うよりのんびりする人にはたまらない所だろう..と言ったほうが正しいかもしれないし、たとえカップルや家族連れにしても連帯感が保てプライベートが守れて、リラックスできる申し分ないリゾートだろう。

マネージャーのジェス
食事の2,3時間前に ジェスが食事の段取りを聞いてくる。昼食は何を食べたいか?とか○○のいいのがあるがどんな調理法がいいか?などである。だからここでは自分の好きなものが好きな料理法で食べられた。
飲み物はいろいろと親切にしてくれるジェスには悪いと思ったが、やはり貧乏癖がついているので安いサンミゲルをと外の売店で買ってきて飲んだが、あとでジェスに聞いたら何とリゾート内と同金額だった。18ペソと、とにかく安い。夕食後は私以外に宿泊客がいなかったせいもあってジェスが夜遅くまで、私が持参したテキーラと一緒に付き合ってくれた。
帰りはポロより 近くから乗れて料金も安いというジェスの言葉通りバイクでコンソエロに向かう。わずが20分で船着場に到着。定刻ギリギリの時間だったのですぐチケット(25ペソ)を買いあわててボートに乗り込む。ところがまだ村のポーターたちが延々と豚や鶏、農産物などを乗り込ませている。
ひどい悪臭を放って私のスグ横まで豚たちが占領してきている。これには閉口、席を移動するがどこも荷物で占領されている。空き瓶の箱や原料ヤシの荷物の上に座っている者もいたが、とりあえず通路の縁に座る。その間、豚が耳に通されたたひもを引っ張られて耳がちぎられそうになりながら、一方では尾っぽを掴み力づくで押され奇声を上げながらも十数頭が無事収容された。やっと出航の時間らしくぞろぞろと今まで埠頭でこの光景を眺めていた人たちが一斉に乗り込む。どうも荷物で席取りをしていた連中らしい。なるほど、これはみんな賢いわ。
定員オーバーとも思える人と家畜と荷物を載せてコンソエロを定刻から随分過ぎて出発。途中、一瞬転覆事故も頭によぎるがほぼ2時間かかってダナオに無事到着。ダナオの船着場にはレストラン(屋台の食堂)がずらりと並んでいてそこの一角で遅い朝食を摂る。ハエのたかった狭くてきたならしい食堂だったが、味はやはり抜群だった。周囲はトライシクルとジープニーでごった返していた。この日は、二三歩外を歩いただけで汗がだらだら、むちゃくちゃ暑い。セブまでジープニーではきついと思いバスを探す。トライシクルでバスターミナルまで案内してもらい、ちょうど止まっていた発車間近の乗合ジャンボタクシー(V-Hire)に飛び乗ってセブにもどる(35ペソ)。
マンダウェ陸橋下のジョリビーを目にしたところで今回の私の旅は終った。
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